Q&A 博覧会などイベント

    この「著作権Q&A  著作権って何?(はじめての著作権講座)」のコーナーでは、右の項目について、それぞれまず要旨を説明し、次に「Q&A」の形で、実際の事例にそった解説をします。

    県内企業や団体が出展し、有料の博覧会を開催します。各パビリオンでは、美術品、写真パネル等の展示やバンド演奏が行われますが、どうしたらよいのですか。
    博覧会は、県が主催しこれに各種の企業や団体が出展契約を結んで出展するもの、第三セクター等が主催し出展者と出展契約を結ぶもの等があると思います。

    博覧会においては、主催者はその博覧会のテーマを作成しその博覧会を統括します。個々の出展内容については、各パビリオンが決定するものですが、主催者は、事前に各パビリオンの内容のガイドラインや法律を遵守すること等を定め、出展者と出展契約を締結するものと思います。

    また、博覧会の入場料は主催者に支払われ、主催者が集まった入場料を処分する権限を有する場合が一般的です。

    したがって、博覧会の主催者は、各パビリオンを管理する責任と権限を有し、かつ、各パビリオンの出展による経済的利益を受けることになります。

    一方、各パビリオンの出展主体は、あくまでも各出展者であって、主催者ではありません。したがって、個々のパビリオンの内容を決定するのは各出展者であって、そのパビリオンにおける第一次的な責任は各出展者にあります。実際上も、各パビリオン内の著作物の管理について主催者が個別の著作権の帰属主体や権利処理をいちいち確認し管理することは物理的に不可能です。したがって、主催者は出展者である各企業あるいは各団体にこれらの著作物を管理させ権利処理をさせる必要があります。

    そこで、まず、主催者である県あるいは第三セクターは、出展者である各企業あるいは各団体に対し、著作物の使用に関する注意を明記し、著作権を遵守するよう指導する必要があります。また、出展契約には、他人の著作物を使用する場合にはその著作物の権利処理を行い、他人の権利を侵害していることがない旨の保証条項、及び、万一、他人の権利侵害を理由に主催者が損害を被った場合には主催者に対しその損害を填補する旨の条項を盛り込んでおくべきです。更に、各パビリオンに対し、美術、写真、音楽等、著作物の種類別に、使用している著作物、権利者、権利処理の状況について報告書を作成させ、事前にその報告書を提出させて主催者がチェックできるようにしておく必要があります。

    パビリオンで他人の著作物について著作権侵害行為が起こった場合には、主催者は統括的な管理責任者及び入場料収入という経済的利益の帰属者として、パビリオンの出展者と連帯して著作権侵害行為の責任を追及される可能性が大きいといえます。

    なお、音楽の著作権を管理している日本音楽著作権協会(JASRAC)は、上記の主催者の管理責任及び経済的利益の帰属という観点から、主催者に対し博覧会全体の音楽著作物を取りまとめてJASRACから利用許諾を受けるように求めています。

    照会先
    有料の博覧会会場の映像パビリオンのワイドビジョンで行われる企業製作の記録ビデオの上映は、どこかに許諾手続きが必要ですか。
    まず、記録ビデオは、著作権法上は映画の著作物に該当します。博覧会会場の映像パビリオンのワイドビジョンで記録ビデオを映すことは、著作権法上の上映に該当します。

    著作権法によって、映画の著作者は、制作、監督、演出、撮影、美術等を担当してその映画の著作物の全体的形成に創作的に寄与した者とされています。なお、映画の原作である小説や脚本、音楽は映画とは別個の著作物とされますので、これらの著作者は映画の著作者にはなりません。これらの著作者はクラシカル・オーサーと呼ばれ、映画の著作物の著作者とは独立しているため、これらが使用されている場合には、映画の著作物の著作者とは別個独立して著作権処理をする必要があります。

    ところで、映画の場合には、他の著作物と異なり必ずしも著作者=著作権者となるわけではありません。著作権法によって、映画の著作物の著作権は、映画の著作者が映画製作者に対し映画の製作に参加することを約束していた場合には、映画製作者に帰属することになっているのです。ここで、映画製作者とは、映画の製作に発意と責任を有するものと規定されていますが、記録ビデオの製作を企画し資金を出した企業が常に映画製作者となるわけではありません。むしろ、企業は企画を行ったり資金を出しただけであって、実際の製作はビデオ製作会社に依頼したのであれば、この映画の製作者はビデオ製作会社になります。

    そこで、上記のように企業が企画し制作費を出したのであっても実際の製作をビデオ製作会社に依頼したのであれば、著作権はビデオ製作会社に帰属することになりますので、企業がビデオ製作会社から著作権譲渡の契約をしない限り、上映についてはビデオ製作会社から許諾を受ける必要があることになります。

    なお、企業自らが自社の従業員を使用して記録ビデオを製作した場合には、職務著作としてその記録ビデオの著作者及び著作権者は企業となりますので、この場合は、誰かに上映の許諾を得る必要はないでしょう。また、記録ビデオに脚本がある場合や音楽が使用されている場合には、上述のとおり、それぞれ脚本家が持つ上映権の著作権処理をする必要があります。

    照会先 根拠法令
    県のパビリオンでは、名産品の展示即売と観光課製作のPRビデオをマルチビジョンで放映しますが、何か問題はありますか。
    観光課製作のPRビデオは、著作権法にいう映画の著作物に該当します。また、パビリオン内でマルチビジョンで放映することは、著作権法上の上映に該当します。上映というと、映画館のスクリーンに映し出すイメージが強いかもしれませんが、ビデオの場合の画面の再生も上映にあたると解されております。

    ところで、観光課製作とはどのようなことをいうのでしょうか。文字通りに取れば、観光課の職員が全部自分たちで製作することになるでしょう。この場合には、職務著作として県に著作権が帰属するでしょうから、ビデオをマルチビジョンで放映しても何ら問題は生じません。権利者が自己の権利を行使できるのは当然のことです。

    しかし、通常は、観光課が外部のビデオ製作会社に製作を依頼することになるでしょう。

    この場合には、契約によってビデオ製作会社から著作権譲渡を受けておく必要があります。もし、著作権譲渡の合意ができない場合には、ビデオ製作会社に著作権が帰属します。これも前記の設問のとおりです。

    観光課がビデオ製作会社から著作権の譲渡を受けていた場合には、著作権者として、マルチビジョンで放映することは何ら問題がありません。著作権譲渡を受けていない場合には、マルチビジョンでの上映の許諾をビデオ製作会社から受ける必要があります。

    博覧会の入場料が無料の場合であっても、名産品の展示即売と一緒に放映するのであれば営利目的で上映していることになりますので、このPRビデオを放映することについて著作権者から許諾を受けることが必要です。

    なお、PRビデオに音楽を使用している場合には、音楽の著作物の上映権についても処理をする必要があります。これについては、日本音楽著作権協会(JASRAC)等音楽著作権管理団体に問い合わせてください。

    照会先 根拠法令
    博覧会会場全域に構内有線放送施設をほどこし、CD音楽を常時放送しますが、問題がありますか。
    問題があります。

    著作権法では、有線放送公衆送信の一種と定義されています。ここでは、インターネットのように個々に情報を送るリクエスト型のものと、CATVやミュージック・サプライのように同一内容のものを一斉に送信する有線放送型の2種類を包含しています。

    ところで、公衆送信の定義規定はちょっと複雑な規定となっていますが、簡単にいえば、権利者の許諾が必要となる公衆送信からは同じ施設内に設置され送信されているものは除く(もっとも、プログラムの著作物の送信には、これは適用されません)が、同じ施設内といっても占有している人が別である場所を結んで送信している公衆送信は許諾の必要な公衆送信になるということです。

    博覧会は1つのテーマのもとに主催されており、主催者が博覧会会場内全体を統括管理しているわけですが、博覧会会場の中には多数の施設やパビリオンがあり各パビリオンごとに出展している主体も別個でありますから、占有者は別だと考えるべきでしょう。よって、たとえ博覧会会場内に限っての有線放送施設であっても、この会場全域に設置する有線放送は、やはり著作権法に規定された権利者の許諾の必要な有線放送であると考えられます。

    なお、有線放送事業者とは、営利非営利を問わず、その有線放送を反復継続している者を指しますので、博覧会期間内に有線放送を常時行うのであれば、有線放送事業者に該当します。

    有線放送によってCD音楽を放送するのであれば、まず、音楽の著作者、すなわち、作詞・作曲家の公衆送信権が働きます。したがって、これについては日本音楽著作権協会(JASRAC)等音楽著作権管理団体あるいは著作権者の許諾を得る必要があります。

    また、有線放送事業者として、歌手や演奏家(これらを実演家といいます)及びレコード製作者(CDの場合でもレコード製作者といいます)にCD音楽の二次使用料の支払いを行う必要があります。この二次使用料は、個々の実演家やレコード会社に支払うのではなく、日本芸能実演家団体協議会(芸団協)日本レコード協会に支払うことになります。

    なお、平成11年に著作権法附則14条が廃止され、有線放送で音楽を放送するだけでなく、適法に録音されたCD音楽等を公に再生する場合にも、演奏権が働くことになりました。著作権使用料等詳しくは、日本音楽著作権協会(JASRAC)等音楽著作権管理団体あるいは著作権者に問い合わせてください。

    照会先 根拠法令
    県内の古寺社の内外をビデオ撮影し、県のパビリオンで上映しますが、古寺社側から撮影料などのお金を請求されました。支払わなければなりませんか。
    古寺社の内外をビデオ撮影する場合は、どのようなものが撮影対象になるのでしょうか。外にあるものとしては、古寺社の建物の外観や庭、塀や門などが例として挙げられるでしょう。内にあるものとしては、仏像や絵、かけ軸などの美術品があるでしょう。これらは、著作権法の著作物であるものもあるでしょうが、ほとんどのものは作者の死後50年が経過しているでしょうから、著作権法では保護されないでしょう。また、古寺社はそれらを「物」として管理しているだけであって、著作権の譲渡を受けているものは少ないと思います。

    ところで、今述べたように、古寺社は、管理者あるいは所有者としてこれらの建物や物を支配し管理しております。したがって、古寺社の建物や塀、庭の様子を古寺社の敷地の外から撮影するのであれば、古寺社の許可を受けずにも撮影することは物理的に可能です。

    しかし、建物の中にある仏像、絵、かけ軸等を撮影するのであれば、古寺社の中に入って撮影をしなければなりません。古寺社は建物及び品物を「物」として物理的に管理し支配しているわけですので、それを撮影するためには古寺社に対し撮影の申し込みを行い、その許可を受けなければ撮影を行うことはできません。その際に、撮影目的の限定という条件があった場合には、古寺社と撮影者との間に「撮影したフィルムの使用目的を限定する」という契約が成立したことになります。撮影料の支払いを請求された場合にも同じです。撮影者は古寺社に対し撮影料の支払いをしなければ、敷地内で仏像、絵、かけ軸などの撮影を行うことは物理的にできませんから、撮影料を支払うことに合意するのです。

    このように、古寺社が請求する撮影料の根拠は、著作権法上のものではありません。これはあくまでも建物や美術品の物理的な管理者である古寺社が物理的な管理権の行使の結果として請求するものです。

    したがって、例えば撮影時に何ら使用目的の限定がなされなかった場合には、古寺社は撮影したフィルムやそこに写っている映像については著作権上も所有権上も何ら権利を持ちませんから、撮影者がその後どのように上映したり印刷したりしても古寺社はクレームをつけることはできません。

    なお、過去の裁判例の中には、他人のクルーザーや広告気球などを外から撮影して利用した場合にパブリシティの権利の侵害を認めたものもありますが、これは非常にまれな例であるといえましょう。

    根拠法令

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